歴史とコイン 2013 6 30
書名 コイン・コレクションのはじめかた
著者 拓植 久慶 PHP研究所
この本を読んで、一貫して感じられることは、
コイン収集の第一歩は、資金を用意することではなく、
「まず勉強することである」ということです。
やみくもにコインを集めたところで、
ガラクタが集まるだけだと思います。
コインには、その国の歴史や文化が凝縮されています。
あるいは、時代背景がコインのデザインに現れていると思います。
世界の歴史や文化に関心がある人は、
コイン収集を始めると、歴史や文化への理解が深まるでしょう。
「長年の歴史ファンだが、最近、マンネリ感を感じている」という人に、
コイン収集は、新たな発見となるかもしれません。
コイン収集の魅力は何か。
たとえば、工事現場からローマ帝国時代の品物が出てきたら、どうなるか。
それは、大騒ぎとなり、そういうものは、博物館に展示されるでしょう。
しかし、ローマ帝国時代のコインは、
普通に、オークションや市場で、安いものでは、
数十万円で手に入れることができるのです。
これは、歴史ファンとしては、大きな魅力を感じるでしょう。
さて、日本では、アメリカ通の人が多いと思いますが、
アメリカがコイン・コレクション大国であることを知らないでしょう。
多くの日本人は、アメリカというと、経済大国や軍事大国を連想するでしょうが、
実は、アメリカは、コレクション大国です。
なぜ、アメリカ人がコイン収集を好きなのか、
その理由は、よくわかりません。
欧州がコレクション大国であることは、
だいたい想像がつくでしょう。
ところで、アメリカ、欧州と来たから、日本は、どうかと思いましたか。
実は、日本は、このような分野では、大国でありません。
なぜか。
日本のコインは、高度な技術で作られていて、
なおかつ芸術的な美しさがあります。
しかし、あまり価値がないと思います。
その理由は、発行枚数が多いからです。
記念コインの世界標準は、世界で発行枚数が5,000枚から10,000枚程度です。
しかし、日本の記念コインの発行枚数は、200,000枚から300,000枚でしょう。
もりろん、江戸時代の小判や明治政府の金貨は価値があると思いますが、
戦後、発行された記念コインは、なかなか価値が出にくいと思います。
そういうわけで、日本人のコイン収集家は、
世界のコインを集めることになるのです。
もう一度書きますが、
コイン収集の第一歩は、資金を用意することではなく、
「まず勉強することである」ということです。
やみくもにコインを集めたところで、
ガラクタが集まるだけだと思います。
コインには、その国の歴史や文化が凝縮されています。
あるいは、時代背景がコインのデザインに現れていると思います。
コインを学べば、その国の歴史を学ぶことになります。
つまり、コイン収集には、世界史の参考書が必要となるのです。
山川出版社の「詳説 世界史研究」などがよいかもしれません。
共和国 republic 2004 7 9
かつて存在し、今も実質的に存在する共和国があります。
それは、「テキサス共和国」です。
おそらく、アメリカの東海岸に住む人たちにとっても、
西海岸に住む人たちにとっても、
「テキサス共和国」は、異質な存在だと思います。
ここでは、「テキサス共和国」の歴史の一部を見てみましょう。
おそらく、「テキサス共和国」の人たちは、怒るかもしれませんが、
ここでいう歴史とは、あえて、弱者から見た歴史です。
そもそも、歴史というものは、いつも正しいとは限りません。
なぜならば、歴史とは、勝者が書くものであり、
敗者には、歴史を書く権利がありません。
しかし、ここでは、あえて、敗者から見た歴史を書きます。
これは、ルイジアナが、やっと、アメリカの領土となった頃の話です。
その当時のアメリカ人は、メキシコとの国境を無視して、
多くの人が、次々と、テキサスに入植していったのです。
歴史には、国が発展する時は、必ず、領土も発展するという法則があります。
ですから、テキサスに入植したことも、歴史法則から見れば、当然だったでしょう。
しかし、メキシコから見れば、
アメリカ人が、勝手に入植してきたので、当然、怒るでしょう。
こうした入植者を排除しようと考えるわけです。
これは、当然、メキシコとの戦争になりました。
多くの人は、有名な「アラモ砦の戦い」として記憶にあるでしょう。
この戦争で、アメリカ人は、多くの犠牲者を出しながらも、
テキサスの独立と、アメリカへの合併を勝ち取りました。
この当時は、「国が発展する時は、必ず、領土も発展する」という法則を、
「マニフェスト・ディスティニー」という思想が、理論的に説明していたのです。
この思想は、アメリカの領土は、神から与えられたもので、
未開発の地域は、アメリカによって併合される運命であるという考え方です。
しかし、このような思想は、アメリカの発展によって、解消されたはずです。
つまり、アメリカが、地域国家から国際国家になっていく過程で解消されたと思っています。
アメリカが、古い時代へと、先祖帰りをすることはないと思っています。